わかりやすい日本語教育
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N4文型 「受け身」

初心者のための「受身(うけみ)」完全ガイド:意味・作り方・使い分け

皆さん、こんにちは。日本語教師の大野です。 日本語を学習していて、多くの方が「難しいな」と感じる壁の一つが「受身(うけみ)」です。しかし、受身をマスターすることは、自然な日本語を話すための非常に大きな一歩になります。

今回は、受身がなぜ必要なのか、その作り方や使い分けのポイントを、「ベテランのコツ」を交えて分かりやすく解説しますね。


 

1. はじめに:日本語の「受身」が大切な理由

日本語には「私(話し手)中心」で物事を語るという大きな特徴があります。

例えば、お母さんに叱られたとき、英語では「Mother scolded me(母は私を叱りました)」と能動文で言うのが一般的ですが、日本語では「私は母に叱られました」と受身文で言う方がずっと自然に聞こえます。

日本語を話すとき、私たちは無意識に「自分」を物語の主人公にして話そうとします。自分が動作の影響を受けたとき、自分を主語にしないと、なんだか他人事のように聞こえてしまうんですね。

2. 「受身」の意味と視点:肩の上のカメラ

受身を理解する一番のコツは、自分の**「視点の位置」**を意識することです。

想像してみてください。あなたの肩の上に小さなカメラが乗っているとしましょう。

  • 能動文(先生が私を褒めた): カメラは「先生」の方を向いています。
  • 受身文(私は先生に褒められた): カメラは「私」の視点のまま、向こうからやってくるアクションを映しています。

日本語は、この「自分側のカメラ」を維持したい言葉なのです。例えば、AチームとBチームの試合で、あなたがBチームを応援しているなら、「Bチームが倒された」と言う方が、Bチームに寄り添った(共感的な)表現になります。

また、冷蔵庫のプリンを誰かに食べられたときも、「誰かが食べた」という事実より、自分の視点で「食べられちゃった!」と言う方が、「悲しい」「困った」という皆さんのリアルな感情が相手に真っ直ぐ伝わりますよ。

3. 受身形の作り方(グループ別ルール)

まずは、動詞の形を正しく変えられるようになりましょう。

動詞のグループルール例(ます形 → 受身形)
1グループ「iます」を**「aれます」**に変えるしかり・ます → しから・れます<br>きき・ます → きか・れます
2グループ「ます」をとって**「られます」**をつけるたべ・ます → たべ・られます<br>み・ます → み・られます
3グループ丸ごと覚える(例外)し・ます → され・ます<br>き・ます → こられ・ます

⚠️ ベテラン教師からのアドバイス!

  1. 「〜います」の落とし穴: 1グループの「いいます」「つかいます」などは、「いあれます」ではなく、**「いわれます」「つかわれます」**と「わ」になります。ここ、テストや会話で一番間違えやすいポイントですよ!
  2. 2グループの「隠れたワナ」: 2グループの受身形(たべられる)は、実は「可能形(食べることができる)」と全く同じ形です。文脈で判断する必要がありますが、まずは「形が同じなんだな」と知っておくだけで混乱を防げます。

4. 受身の4つの使い方と具体的なシチュエーション

受身には大きく分けて4つのパターンがあります。

① 直接受身(主語の入れ替え)

動作の受け手が主語になる形です。

  • 変換マップ: [Aさん] [私] [褒めました] → [私] [Aさん] [褒められました]
  • 例: 私は友達に映画に誘われました。

② 間接受身(迷惑受身)

「自分の意志とは関係なく、嫌な事態に巻き込まれた」という時に使います。

  • 例: 雨に降られました。(雨が降って困った)
  • 例: 夜中に子供に泣かれました。(子供が泣いて眠れなかった)

③ 所有物の受身(被害の強調)

自分の体や持ち物に何かをされた時に使います。

  • 例: 私は隣の人に足を踏まれました
  • 例: 私は泥棒に財布を盗まれました

【要注意!】 「私の足は踏まれました」とは言いません。日本語では、体の一部は「自分そのもの」と考えます。痛みや嫌な気持ちを感じているのは「足」ではなく「あなた自身」ですよね?だから必ず**「私は〜」**を主語にしてください。

④ 中立・事実の受身

誰がしたかよりも、その「事実」を伝えたい場合です。

  • 例: 2016年にオリンピックが開かれました。
  • 例: ビールは麦から作られます。

5. 受身 vs 授受表現(〜てもらう)の使い分け

初心者が最も混乱するのが、「嬉しい時」の表現です。ここを間違えると、相手に失礼になることもあります。

  • 嫌な気持ち(被害):受身 を使う
  • 嬉しい気持ち(恩恵):〜てもらう を使う

例えば、友達が宿題を手伝ってくれた時:

  • ❌ 私は友達に宿題を手伝われました。(これだと「迷惑だった、余計なことをされた」と聞こえます!)
  • ⭕ 私は友達に宿題を手伝ってもらいました。(「ありがとう」の気持ちが伝わります)

「相手の親切」に対して受身を使うと、感謝がないように聞こえてしまうので気をつけましょうね。

6. 受身文の「助詞」のルール

誰にされたかを表す助詞は、使い分けが重要です。

  1. 「に」: 基本。相手が人や動物のとき(例:犬に噛まれた)。
  2. 「から」: 物が移動してくる時や、情報の出どころ(例:人から愛されている、先生から褒められた)。
  3. 「によって」: 歴史的な発明、設計、執筆など、**「創造的な行為」**に限定して使います。
    • 例:この建物は隈研吾によって設計されました。

7. まとめ:自然な日本語へのセルフチェック

受身は、単なる文法ではなく「あなたの心」を映す表現です。迷ったときは、心の中で次の3つをチェックしてみてください。

  1. 「私」が主語になっていますか?(カメラは自分の肩にありますか?)
  2. それは「嫌なこと」ですか?(嬉しいなら「〜てもらう」ですよ!)
  3. 1グループの活用は「〜わ」になっていますか?(「いわれた」と言えていますか?)

この視点と感情のセットが理解できれば、あなたの日本語は一気にネイティブに近づきます。焦らなくて大丈夫。一つずつ、自分の気持ちを受身に乗せて話してみましょう。応援しています!

 

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ABOUT ME
タッチメン
日本語学校の専任講師として7年以上勤務をしていて、経験した留学生の疑問や先生の悩みを解決していきます。

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