わかりやすい日本語教育
タッチメン

N4文型 「にくい」

みなさんおはようございます。

この記事では日本語専任講師歴7年以上の経験から、N4文型「~にくい」の使い方、導入例文、前件後件のルール、よくある間違いなど詳しく解説していきます。日本語学習者にはわかりやすく、日本語教育者には指導の参考になる記事を提供できるよう頑張りますので、是非最後までご覧ください。

今日の文型 「にくい」

アリスさん
アリスさん
先生 今日は何を勉強しますか。
タッチメン
タッチメン
アリスさん 今日は「~にくい」を勉強します。

導入①

タッチメン
タッチメン
それでは「~にくい」をしっかり勉強しましょう。
タッチメン
タッチメン
「にくい」は2つ使い方があります。まずは1つ目の使い方を紹介します

導入例①【このペットボトルはふたが固くて開けにくいです。】

タッチメン
タッチメン
アリスさん、ちょっと手伝ってください。
アリスさん
アリスさん
いいですよ、何ですか。
タッチメン
タッチメン
このペットボトル開けてください。
アリスさん
アリスさん
いいですよ。これ固いですね。
タッチメン
タッチメン
そうなんです。

ふたが固くて開けにくいんです。

アリスさん
アリスさん
はい。開きましたよ。
タッチメン
タッチメン
ありがとうございます。
アリスさん
アリスさん
先生、「開けにくい」はなんですか。
タッチメン
タッチメン
開けるのが難しい=「開けにくい」です。
タッチメン
タッチメン
とても固くて、開けるのが難しいです=固くて開けにくいです。
アリスさん
アリスさん
わかりました。

 

導入例②【ワンピースは漢字が多くて読みにくいです。】

タッチメン
タッチメン
アリスさん、ワンピースは読んでいますか。
アリスさん
アリスさん
読んでないです。
タッチメン
タッチメン
どうしてですか。
アリスさん
アリスさん
漢字が多くて、読むのが大変なんです。
タッチメン
タッチメン
漢字が多くて読みにくいんですね。
アリスさん
アリスさん
「読むのが難しい」だから、「読みにくい」ですか。
タッチメン
タッチメン
そうです!
アリスさん
アリスさん
わかりました。

 

説明

タッチメン
タッチメン
「Vます形+にくい」は”~するのが難しいです”と言うときに使います。
タッチメン
タッチメン
「にくい」の前の動詞はすべて”意志動詞”です。
アリスさん
アリスさん
わかりました。

 

導入②

タッチメン
タッチメン
続いて2つ目の使い方です。

 

導入例①【梅雨は洗濯物が乾きにくいです。】

タッチメン
タッチメン
今日も雨ですね。
アリスさん
アリスさん
そうですね。
タッチメン
タッチメン
梅雨は嫌ですね。
アリスさん
アリスさん
そうですか。
タッチメン
タッチメン
洗濯物が乾きにくいので、嫌です。
アリスさん
アリスさん
「乾きにくい」は何ですか。
タッチメン
タッチメン
乾くまでに時間がかかりますね。

乾くになるのが難しい=「乾きにくい」です。

アリスさん
アリスさん
わかりました。

 

導入例②【毎日ヨーグルトを食べる人は、病気になりにくいです。】

タッチメン
タッチメン
アリスさん、毎朝何を食べていますか。
アリスさん
アリスさん
パンとフルーツです。
タッチメン
タッチメン
ヨーグルトは食べないんですか。
アリスさん
アリスさん
たまに食べますよ。
タッチメン
タッチメン
ヨーグルトは毎日食べたほうがいいですよ。
アリスさん
アリスさん
どうしてですか。
タッチメン
タッチメン
毎日ヨーグルトを食べる人は、病気になりにくいんですよ。
アリスさん
アリスさん
「病気になりにくい」は何ですか。
タッチメン
タッチメン
ヨーグルトを食べる人は、あまり病気になりません。

病気になる可能性が低い=「病気になりにくい」です。

アリスさん
アリスさん
わかりました。

これから毎日食べます。

 

説明

タッチメン
タッチメン
「Vます形+にくい」は”~になるのが難しい”や”~になる可能性が低い”と言うときに使います。
タッチメン
タッチメン
「にくい」の前の動詞はすべて”無意志動詞”です。
アリスさん
アリスさん
わかりました。

 

注意

タッチメン
タッチメン
「にくい」は前の動詞が、”意志動詞”か”無意志動詞”で意味が違います。
タッチメン
タッチメン
違いは小さいですが、前の動詞が何かを確認してください。
アリスさん
アリスさん
はい、わかりました。

 

解説(日本語教師向け)

ここからは日本語教育者向けの解説をしていきます。

意味

意志動詞:~するのが難しい

無意志動詞:~状態になるのが難しい、~になる可能性が低い

接続

動詞ます形+にくい

 

前件/後件のルール

・ルールA 後件基本的には5パターン

「にくい」は後件に来る形がある程度決まっています。基本的には以下の5パターンです。この5パターンを覚えておけば、簡単に使うことができるので覚えておきましょう。

 

①「~にくいです」

このパソコンはとても使いにくいです

②「~にくい+名詞」

これはとても使いにくいパソコンです。

③「にくい+なる」

前日に準備をしたら、忘れにくくなるよ。

④「にくい+する」

ガラスフィルムを貼って、画面が割れにくくする

⑤「にくい+から、ので」

この靴は歩きにくいから、やめたほうがいいよ。

 

ポイント

①”意志動詞”と”無意志動詞”で意味が違う

「にくい」の大きなポイントは、接続する動詞の種類によって意味が変わることです。接続する動詞が”意志動詞”なのか、”無意志動詞”なのかで意味が少し変わります。微妙なニュアンスの違いがあるので、どちらの使い方も覚えておきましょう。

意志動詞:あることをするのが難しいと伝える

無意志動詞:ある状態になることが難しい、その状態になる可能性が低い

 

②「Vます形+やすい」はイ形容詞

「Vます形+にくい」の品詞はイ形容詞と同じ扱いになります。変化もイ形容詞と同じ変化をするので覚えておきましょう。

 

丁寧形普通形
現在肯定形にくいですにくい
現在否定形にくくないですにくくない
過去肯定形にくいかったですにくかった
過去否定形にくくなかったですにくくなかった

 

③類似文型の「づらい」(N3)と「がたい」(N2)との違い

「にくい」には「づらい」(N3文型)と「がたい」(N2文型)という類似文型があります。初級レベルの学習者には、違いの説明をすることはありませんが、中級レベル以上の学習者からはよく違いを聞かれます。もし学習者に聞かれたときに答えられるよう、ここでは簡単な違いを紹介します。

 

にくい:物理的なことが理由でするのが難しい。(いいことにも悪いことにも使える)

私は太りにくい体質なので、カロリーを気にしたことがない。

 

づらい:精神的や身体的に原因がある。原因が自分によるもの。(無意志動詞の性質には使えない)

遅刻をしたので、教室に入りづらい

 

がたい:心理的な原因でできないときに使う。絶対にできないとい強い否定になる

彼はいつも嘘をつくので、今回の話も信じがたい

 

 

④反対の意味の文型は「~やすい」

「にくい」と同じ使い方で反対の意味の”~するのが簡単だ”と伝える「~やすい」という文型があります。基本的には一緒に導入するので、覚えておきましょう。

やすい:この町はとても住みやすいです。

 

学習者によくある間違い

・「にくい」と「するのが難しい」の違い

「にくい」は”~するのが難しい”という意味で使われます。しかし「にくい」を使えない場面がいくつかあります。「にくい」を使えないときは、「するのが難しい」と言います。学習者には、使い分けが難しい文型なので、間違っているときに訂正できるように準備をしておきましょう。

 

「にくい」:そのものの特徴や形、性格などからある行為をするのが難しいとき

目が悪いので、黒板の字が見にくいです。

 

「するのが難しい」:

①状況や心情的にするのが難しいとき

このバンドは大人気だから、ライブのチケットを入手するのが難しい。

②自分の能力や物の技術力から考えてするのが難しいとき

日本語の勉強を始めて1年でN1に合格するのは難しい。

 

まとめ

にくい まとめ

・意志動詞と無意志動詞で意味が異なる

・意志動詞は「~するのが難しい」

・無意志動詞は「~になるのが難しい」

・変化はい形容詞と同じ

・「づらい」と「がたい」という類似文型がある

 

以上「にくい」の解説でした。ここに書いてあること以外の疑問や質問はコメントをお願いします。最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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タッチメン
日本語学校の専任講師として7年以上勤務をしていて、経験した留学生の疑問や先生の悩みを解決していきます。

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