みなさんおはようございます。
この記事ではN1~N5までの文型の意味、使い方、前件後件のルール、よくある間違い、類似文型との比較などなど詳しく解説していきます。日本語学習者にはわかりやすく、日本語教育者には指導の参考になる記事を提供できるよう頑張りますので、是非最後までご覧ください。
今日の文型 「~つもり」
導入
使い方 自分が決めたことを他の人に言う
・導入例①【私は夏休みに京都へ旅行するつもりです。】
・導入例②【私は来月アルバイトを辞めるつもりです。】
・導入例③【私は仕事を辞めないつもりです。】
・説明
・注意点
解説(日本語教師向け)
ここからは日本語教育者向けの解説をしていきます。
意味
・自分の意志を他の人に言う
接続
V辞書形+つもり
Vナイ形+つもり
前件/後件のルール
・ルールA 自分で決められないことには使えない
「~つもり」は自分の気持ちや決めたことを他の人に伝えるときに使います。そのため自分の意志で決められないことに使うことはできません。
家族が心配するので、交通事故に遭わないつもりです。
来月の大学入試に合格するつもりです。
・ルールB 無意志動詞は使えない
自分の意思を伝える文なので、無意志動詞は使えません。
代表的な無意志動詞:わかる、疲れる、始まる、晴れる、咲く、売れる…
・ルールC 目上の人の質問には使わない
「~つもり」は意思や気持ちを伝える文型です。疑問形で使うときは相手の意思や気持ちを聞くことになります。日本では目上の人の意思や気持ちを直接聞くことは失礼です。そのため目上の人への質問には使わないようにしましょう。
先生、明日のクリスマス会にいらっしゃるつもりですか。
先生、明日のクリスマス会にいらっしゃいますか。
・ルールD 主語が三人称の時は伝聞の表現が必要
「~つもり」は基本的に主語が一人称にしか使えません。しかし伝聞表現を使うことで主語が三人称の文でも使うことができます。
彼は来週京都へ行くつもりです。
彼は来週京都へ行くつもりだそうです。
伝聞表現:~そうです・~らしい・~って・~と聞いた・~と言っていた…
注意点
・導入
①初級者には「意向形+と思っている」と同じ使い方という説明でOK
「~つもり」と「意向形+と思っている」は”みんなの日本語”で、同じ31課で扱われている文型です。そのため先に導入している「意向形+と思っている」を使って導入してもいいと思います。その際は使い方は同じという説明で問題ありません。学習者が違いの説明を求めているときは、「ナイ形+つもり」を使える点を強調しましょう。また、「~つもり」のほうが気持ちが強いという説明でも納得してくれることもあります。
・「ないつもり」と「つもりはない」の違い
初級者には「ナイ形+つもり」だけの導入でかまいませんが、中級者になると「つもりはない」を導入してもいいかもしれません。2つの文法の違いは「つもりはない」のほうがより強い否定になるということです。「つもりはない」は強い否定のため、使う場面に注意が必要です。
・何度も言うが、この家を売るつもりはない。
上記のように、「何度も言う」、「絶対」「決して」などの強い否定の意味がある言葉と一緒に使うと、場面設定や「ないつもり」との違いがわかりやすくなります。
・学習者に「つもりですか」という質問をしない
「~つもり」は自分の意志を伝えるときに使う文型です。二人称、三人称への「つもりですか」という疑問文はありますが、制限があります。以下の文を見てください。
・来週は台風が来るのに、旅行に行くつもりですか。(強い疑問)
・先輩、本当に会社を辞めるつもりなんですか。(心配、不満など)
・私たちを置いて、またゴルフに行くつもりなの。(非難)
「つもりですか」の文は、聞き手側に強い疑問や不満、非難、心配、驚きなどの感情がある状況で使われます。そのため日常での質問には使いません。相手の意志を確認したいときは、普通の疑問文を使いましょう。
・来週は旅行に行きますか。
・先輩、会社を辞めるんですか。
・明日はゴルフに行くの?
実際に”みんなの日本語”でも、「~つもりですか」という聞き方はしていません。学習者に「~つもり」を使った文を作らせたくて、「~つもりですか」と質問をする先生方をよく見かけます。ここで「~つもりですか」という質問が定着してしまうと、上記の感情を含んだ表現という日本人的な感覚を理解するのに時間がかかってしまいます。学習者が日本人らしい日本語を使えるように、初級レベルの指導から細かなところまで気にしましょう。
学習者によくある間違い
・他人やみんなで決めたことに使う
例:
私は来週出張で北海道へ行くつもりです。
一般的には出張にいつ、どこに、誰が行くかは会社が決めることです。そのため社長など、自分で決められる立場ではない人が言うと、不自然な文になります。
・意志があまり関係のないことに使う(スケジュールなど)
今日は仕事で名古屋に行くつもりです。
仕事で名古屋に行くことは、感情がない行動です。そのため「~予定」を使いましょう。
今日は仕事で名古屋に行く予定です。
まとめ
・自分の意志を他の人に伝えるときに使う
・主語に二人称、三人称は使わない。(伝聞はすべてOK)
・質問の文には基本的に使わない(制限あり)
・自分で決められないことや他人が決めたことには使わない
以上「~つもり」の解説でした。
「~つもり」は日常会話でよく使う表現です。特に未来の予定を聞かれた時の返答で使うことが多く、学生も耳にする機会が多い文法です。しかし意味は簡単ですが、制限がいくつかあり誤用が見られる文型です。誤用があった時にしっかりと説明ができるよう、前件後件のルールや使われる場面などをしっかりと理解しておきましょう。
ここに書いてあること以外の疑問や質問はコメントをお願いします。最後までご覧いただきありがとうございました。










