みなさんおはようございます。
この記事では日本語専任講師歴7年以上の経験から、N4文型「~てしまう(後悔)」の使い方、導入例文、前件後件のルール、よくある間違いなど詳しく解説していきます。日本語学習者にはわかりやすく、日本語教育者には指導の参考になる記事を提供できるよう頑張りますので、是非最後までご覧ください。
目次
今日の文型 「てしまう」
導入
導入例①【大切なコップを割ってしまいました。】




導入例②【学生証をなくしてしまいました。】
どうしましたか。




説明
「大切なコップを割ってしまいました。」
「学生証をなくしてしまいました。」
解説(日本語教師向け)
ここからは日本語教育者向けの解説をしていきます。
意味
失敗やミスをして、残念や後悔の気持ちを表す
接続
動詞テ形+しまう
前件/後件のルール
ルールA 過去の表現(~てしまった)にする
「~てしまう」は失敗やミスをしたときに、後悔や残念の気持ちを表現するときに使う文法です。失敗した後に使う文法なので、基本的に過去の表現にします。
寝坊をして、遅刻してしまう。
寝坊をして、遅刻してしまった。
基本的には過去の表現「てしまった」の形で使いますが、相手に注意をするときには「てしまう」の形で使うことがあります。
そこに置いてたら、また忘れてしまうよ。
ルールB 基本的に「無意志動詞+てしまう」は後悔・残念の意味になる
「てしまう」は使い方が2つあります。一つ目は『後悔』。そして2つ目は『完了』です。この2つの使い方は、文脈から判断するのが難しいことがあります。どちらか判断する方法の一つが「てしまう」に接続する動詞が『無意志動詞』かどうかです。「無意志動詞+てしまう」の時は、基本的に『後悔』の使い方になります。文脈から判断するのが、難しい時は接続する動詞を見てみましょう。
ポイント
①失敗やミスをしたときに使う
「てしまう」は自分が失敗やミスをしたときに、そのことに対しての後悔や残念な気持ちを表す文型です。導入の時には後悔や残念な気持ちがあることがわかる場面設定をしましょう。
②負の意味の動詞をよく使う
「てしまう」は失敗やミスをしたときに、後悔や残念な気持ちを表す文型です。そのため接続する動詞には、失敗やミスを表す負の意味のある動詞がよく使われます。負の意味のある動詞は以下を参考にしてください。
よく使う動詞:忘れる、死ぬ、壊れる、落とす、なくす、盗まれる、注意される、怒られる、遅れる、割る…
③会話では「ちゃう」を使うことがある
「てしまう」には会話表現で使う縮約形という形があります。縮約形は以下の通りです。
てしまう⇒ちゃう
でしまう⇒じゃう
縮約形「ちゃう」はくだけた会話に使う表現です。家族や友達など仲のいい人との会話に使います。目上の人や初対面の人に使うと失礼なので気をつけましょう。
学習者によくある間違い
・「ました」と「てしまった」の違い
学習者の中には「ました」と「てしまう」の違いを理解できていないまま使っている人が多くいます。そのため日常生活で「てしまう」を使った方がいい場面でも、「ました」を使っているのをよく見かけます。例えば次の場面での会話です。
A:Bさん、酔っぱらってるね。
① B:うん。たくさんお酒を飲んだから。
② B:うん。たくさんお酒を飲んじゃったから。
①の答え方だと、お酒を飲んで楽しい気持ちになっていると見ることができます。
もしかしたら、ただ飲んだ事実を言っているだけかもしれません。
②の答え方だと、少し気分が悪くなって後悔しているように見えます。
同じ「たくさんお酒を飲んだ」ということを伝えていますが、聞く側は違う感じ方をします。
では次の場面です。
A:Bさん、約束の資料持ってきてくれましたか。
① B:申し訳ございません。忘れました。
② B:申し訳ございません。忘れてしまいました。
日本人は①よりも②の方をよく使うと思います。これは②の方が後悔の気持ちがあり、申し訳ないというのが強く伝わるからです。
このように、どちらも同じことを伝えていますが、聞き手の感じ方は大きく変わります。日常生活には「てしまう」を使って、後悔の気持ちを入れた方がいい場面が多くあります。学習者の多くは、この気持ちを込める部分をうまく表現できていないように感じます。どんな時に「てしまう」を使って、後悔の気持ちを伝えた方がいいのか例示してあげましょう。
まとめ
・失敗やミスをしたときに使う
・後悔や残念な気持ちを表現する
・基本的には「てしまった」と過去の形で使う
・日常生活では「てしまう」を使った方がいい場面が多い
以上「てしまう」の解説でした。ここに書いてあること以外の疑問や質問はコメントをお願いします。最後までご覧いただきありがとうございました。











