わかりやすい日本語教育
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多文化共生という建前、無関心という本音 charls

みなさんこんにちは。日本語教師のcharlsです。

今日は日本人大学生と外国人の交流会にて感じた違和感について話したいと思います。今回は日本語教師という枠ではなく、外国に興味があるはずの日本人大学生がどのように外国人との交流会に参加しているのか、そこから感じた違和感は何かを考えてみたいと思います。

是非最後までご覧ください。

 

コロナ禍だからこその交流意義

去年から『異文化オンライン交流会』を銘打って、日本人大学生と外国人の交流会を毎月主催しているのですが、日本語や日本文化の学びのためにと参加してくれる外国人の方々とは少し違う角度から日本人大学生は参加してくれているように思います。
外国人側からすれば、去年から日本に入国できない現状や普段日本人と接点のない環境だからこそ、日本人との直接交流を楽しみに参加してくれているイメージなのですが、日本人側からは楽しみという感情よりも、まるで異人と触れ合うかの如く「そっちの国ではどうなんですか?」みたいな言い方で、悪気は全然ないのでしょうが、興味以上に「日本の方が優位なんだけど」みたいな雰囲気を感じる時が時折あるのです。
日本人からしても普段の生活で外国人と触れ合う機会はほとんどないから、外国人の方々と対等な立場のはずですし、初めて会う状況や緊張した面持ちにしても大差はないはずなのですが、何故だか少し上からというか、斜に見ているような雰囲気を感じるのです。それは決してバカにしているとか悪く思っているということではなく、ある程度の違和感や特別感を感じているのでしょうが、その特別感が私の立場から見て、どうもウェルカムに感じないのです。

 

意欲的な外国人と無欲なまでの日本人

交流中はそれとない会話で建前に身を包んだ感じで接しているので、もちろん相手も悪い気はしませんが、良い印象はというと与えていないどころか、どこか無関心だったり、その場のノリみたいな感じの雰囲気なのです。
外国人側は、これまで学んできた日本語を使って会話したい方や日本人と仲良くなりたい方、日本文化について語り合いたい方など、共通している点は意欲的であり積極的なのですが、日本人側はそれほど意欲的に会話をリードすることもなく、淡々とその場をやり過ごしているのです。
元々冷静で消極的な人種ということは理解しているし、私自身も教師の立場でありながら人見知りで大人しい性格なので日本人側の状況も十分理解できるわけですが、それにしてもこれほど温度差を感じるのは、やはり日本人の国民性に原因があると思ってしまいます。

 

相手に寄り添い、歩み寄るという気持ち

世界で比較しても底辺に近いくらいナショナリズムが低い日本人の印象ですが、自分の国に誇りもプライドも大して持ち合わせていないからか、外国人に対する接し方や取り扱い方が、あまりにずさんな印象です。
外国人の方が道で困っていても声をかけないどころか、助ける方法すらも知らないし、ソーリーと言ってそそくさと逃げてしまう日本人は、国際社会である現代でも日常よく見られる光景です。
同じ世代で、同じ性別で、同じ環境で交流する中でも、それに近い状況が生まれています。話を振って続かなければ黙ってしまい、話題を探そうにも相手の文化が分からないから手も足も出ない。同じ日本人同士なら何とかなっても、外国人相手だとそうはいかないのです。
その原因の一つとして、外国人というだけのレッテルや偏見が要因だと考えられるのですが、日本語は上級レベルで日本で何年も生活もしているのに、その偏見は中々払拭できないのです。百歩譲って、不慣れだから仕方ないのかもしれません。しかし、寄り添う気持ちや積極的に歩み寄ろうという意識は、日本人である前に人として、少なからずあってもいいと思っています。

 

多文化共生は、ただの幻想

外国人の方から見ると、日本人大学生はどこか子どもっぽいのかもしれません。相手がどんな人であろうと円滑にコミュニケーション取れるかというと、日本人大学生は上手ではないかもしれません。
むしろ外国人の方は日本が好きで日本語を勉強していたり、日本文化が好きだったりと、何かしらのリスペクトの気持ちがあるわけです。そういった温度差が態度の違いとして感じてしまうのかもしれませんが、日本人が外国人の方にリスペクトの気持ちが少なすぎるのがいけないのでしょうか。はたまた、無関心でいることがいけないことなのでしょうか。
何にせよ、日本人大学生そのものがダメなのではなく、日本の風習や価値観といったところに原因があるように思えて仕方ありません。日本人大学生からしても、そもそも自分たちが、このような状況にあることすら気づいていないかもしれないし、外国人からしても、そのような日本の風土や習慣を知らないという側面もあると思います。
多文化共生という言葉を最近耳にすることが多くなってきましたが、まだまだ日本人と外国人との距離は近くないどころか、大多数の人たちが無関心だと思います。この状況が当然の有様で世の中が成り立っていることに残念でなりませんが、ただ一つ言えるのは、外国人側からの歩み寄りはあるのに、日本人側がそれに気づいていない、もしくはそれなりにでも応えていないことが問題なのです。
外国人は怖い、外国人は何を考えているか分からない、外国人はルールを守らない、などという一方的な言葉で否すことは日常茶飯事に至る所で行われているのに、リスペクトの気持ちを持ってウェルカム感がなさすぎるのは、やはりある程度、日本人のせいだと感じて仕方ないのです。

 

 

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