わかりやすい日本語教育
タッチメン

N4文型 「可能形」

みなさんおはようございます。

この記事ではN1~N5までの文型の意味、使い方、前件後件のルール、よくある間違い、類似文型との比較などなど詳しく解説していきます。日本語学習者にはわかりやすく、日本語教育者には指導の参考になる記事を提供できるよう頑張りますので、是非最後までご覧ください。

今日の文型 「可能形」

アリスさん
アリスさん
先生 今日は何を勉強しますか。
タッチメン
タッチメン
アリスさん 今日は「V可能形」を勉強します。

導入

タッチメン
タッチメン
まずは、「可能形」の作り方を勉強しましょう。

可能形の作り方

・Ⅰグループ イ段ます→エ段ます

〇います→〇えます買います→買えます
〇きます→〇けます書きます→書けます
〇ぎます→〇げます泳ぎます→泳げます
〇します→〇せます話します→話せます
〇ちます→〇てます待ちます→待てます
〇にます→〇ねます死にます→死ねます
〇びます→〇べます遊びます→遊べます
〇みます→〇めます読みます→読めます
〇ります→〇れます帰ります→帰れます

 

・Ⅱグループ ○○ます→○○られます

食べます食べられます
起きます起きられます
教えます教えられます
開けます開けられます
覚えます覚えられます

・Ⅲグループ

しますできます
きますこられます
勉強します勉強できます

 

・可能形の活用 Ⅱグループと同じ

ます形買えます
辞書形買える
ない形買えない
テ形買えて
タ形買えた

 

使い方①

タッチメン
タッチメン
可能形の作り方は覚えましたね。
アリスさん
アリスさん
はい。覚えました。
タッチメン
タッチメン
それでは、可能形の使い方を説明します。

 

・導入例① 【アリスさんはひらがなが書けます】

タッチメン
タッチメン
アリスさんはひらがなを書くことができますか。
アリスさん
アリスさん
はい。書くことができます。
タッチメン
タッチメン
アリスさんはひらがなを書くことができます。は長い文ですね。
アリスさん
アリスさん
とても長いです。
タッチメン
タッチメン
可能形を使って短くすることができます。
タッチメン
タッチメン
アリスさんはひらがなが書けます。
アリスさん
アリスさん
先生。短くて、簡単ですね。

 

・導入例② 【アリスさんは自転車に乗れます。】 

タッチメン
タッチメン
アリスさんは自転車に乗ることができますか。
アリスさん
アリスさん
はい。乗ることができます。
タッチメン
タッチメン
文が長いですね。可能形で短くしましょう。
タッチメン
タッチメン
アリスさんは自転車が乗れます。
アリスさん
アリスさん
わかりました。 

 

・説明

アリスさん
アリスさん
先生。可能形とことができますは同じ意味ですか。
タッチメン
タッチメン
はい。そうです。
タッチメン
タッチメン
私+ひらがな+書きます+できます = 私はひらがなが書けます。
アリスさん
アリスさん
先生。「ひらがなをかけます。」はいいですか。
タッチメン
タッチメン
いい質問ですね 。
タッチメン
タッチメン
〇〇を+可能形」はダメです。
タッチメン
タッチメン
  「〇〇が+可能形」にしましょう。
アリスさん
アリスさん
助詞は難しいですね~

 

使い方②

アリスさん
アリスさん
先生。「場所+ことができます」も可能形使っていいですか。
タッチメン
タッチメン
アリスさんは頭がいいですね。
タッチメン
タッチメン
「場所/もの+ことができます」も可能形を使うことができます。

・導入例① 【コンビニでサッカーのチケットが買えます。】

タッチメン
タッチメン
アリスさん。「コンビニでサッカーのチケットを買うことができます。」を可能形の文にしてください。
アリスさん
アリスさん
「コンビニでサッカーのチケットが買えます。」ですか。
タッチメン
タッチメン
そうです。正解です。

 

・導入例② 【スマホで写真を撮ることができます。】

タッチメン
タッチメン
では、「スマホで写真を撮ることができます。」を可能形の文にしてください。
アリスさん
アリスさん
「スマホで写真撮れます。」です。
タッチメン
タッチメン
少し違いますね。 助詞は何ですか。
アリスさん
アリスさん
あっ、間違いました。
アリスさん
アリスさん
「スマホで写真撮れます。」です。
タッチメン
タッチメン
そうです。助詞に気を付けてください。

 

・説明

タッチメン
タッチメン
場所/もの+動詞+できます = 場所/もの+が+可能形 
アリスさん
アリスさん
先生。可能形は簡単で便利ですね。

 

解説(日本語教師向け)

ここからは日本語教育者向けの解説をしていきます。

意味

①~する能力がある

②場所や物で~ができる 状況から考えて~することが可能だ

接続

が+V(可能形)

前件/後件のルール

・ルール① 無意志動詞は可能形にできない

「可能形」にできる動詞は意志動詞だけです。無意志動詞には「可能形」はありません。

代表的な無意志動詞:わかる、疲れる、始まる、晴れる、咲く、売れる…

・ルール② 悪いことには使えない

結果が悪くなる文には使えない

例1:スピード違反をすると罰金を払える。

例2:欠席すると出席率を落とせる。

例3:失敗したら罰ゲームを受けられる。

注意点

・導入

①「ことができる」を使って簡単に導入する

「可能形」は既習の「ことができる」とほとんど同じ使い方です。そのため「ことができる」の文を、「可能形」の文に置き換える形の導入で問題ありません。導入はシンプルかつ、簡単にできるほうがいいので、「ことができる」を使いましょう。

②基本的には「~ことができる」と同じ

基本的な導入は「~ことができる」と同じです。使い方①②をわけて説明しましょう。合わせて「~ことができる」の復習も一緒にすると定着しやすくなります。

・目的格を表す助詞が変わる 「を」「が」

「可能形」のポイントの1つが助詞が変わることです。「~ことができる」の全文を見ると、

私 は 英語 を 話す ことができる。

「主語+は+名詞+を+V辞書形+ことができる」となります。

これを「可能形」の文にすると、

私 は 英語 が 話せる。

動詞の前にある助詞が「を」「が」に変っています。

学習者の多くは動詞を可能形に変換することに集中しすぎて、助詞が変わることを忘れてしまいます。そのため導入の時から助詞が変わることは強調しましょう。そして練習をする際には、できるだけ助詞を含めた文を作る形式にしましょう。

※日本人の会話ではよく「を」を使っている人がいます。会話レベルでは違和感を持たない人も多いです。しかし日本語教育では「が」を使うことが基本なので、導入・練習では「が」を使うように指導しましょう。

ら抜き言葉に注意

Ⅱグループの動詞は「マス形+られる」です。しかし「マス形+れる」になるのが”ら抜き言葉”です。”ら抜き言葉”の代表例は「食べられる→食べれる」「見られる→見れる」「起きられる→起きれる」などです。

”ら抜き言葉”は間違っているという考えが主流ですが、実際には”ら抜き言葉”を自然と使っている人が過半数を超えているというデータがあります。さらには有名な文学作品や歌にも”ら抜き言葉”が使われています。そのため日本語教師の中にも意識しないとつい”ら抜き言葉”を使ってしまう方もいます。将来的には”ら抜き言葉”が主流となる時代が来るかもしれませんが、現状は間違っているという指導になるので、学習者との会話では”ら抜き言葉”を使わないよう注意しましょう。

 

学習者によくある間違い

・誰にでもできることに使う

例:

私はご飯が食べられます。

ご飯は一般的には誰でも食べられます。そのため能力にはなりません。

私は納豆が食べられます。

納豆は苦手で食べられない人がいるのが有名な食べ物です。そのため納豆が食べられるは能力になります。

・場所/ものがメインですることに使う

例1:

図書室で本が読めます。

図書室は本を読むための部屋です。そのため「可能形」は使いません。

図書室で日本のマンガが読めます。

日本のマンガと言うことで、他とは違うというのがわかるので「可能形」を使うことができます。

まとめ

可能形 まとめ

・Ⅰグループ エ+ます Ⅱグループ られます

Ⅲグループ できます 来られます

・可能形の活用はⅡグループと同じ

・使い方は「~ことができる」と同じ

・助詞が「を」→「が」に変わる

・ら抜き言葉に注意

 

以上「可能形」の解説でした。

「可能形」は今までの動詞の形と違って、初めて出てくる活用する動詞の形です。そのためなかなか定着しない動詞ですが、練習を多く取り入れるなど定着させられる工夫をしましょう。

ここに書いてあること以外の疑問や質問はコメントをお願いします。最後までご覧いただきありがとうございました。

ABOUT ME
タッチメン
日本語学校の専任講師として7年以上勤務をしていて、経験した留学生の疑問や先生の悩みを解決していきます。

POSTED COMMENT

  1. マー より:

    待てます。「私は 友達を 待つことができます」の可能形は
                  
         「私は 友達が待てます」で良いでしょうか。

    よろしくお願いいたします。

    • タッチメン より:

      ご質問ありがとうございます。

      可能形は基本的に助詞が「を⇒が」に変わりますが、
      そのまま「を」を使うこともあります。

      ご質問の「待てます」という動詞は「友達」という人が対象になります。
      対象が人の場合は「を」を使います。

      (ボクシングの試合で)俺はいつでもあいつを倒せる。
      彼ならパーティーに岸田総理を呼べます。

      ほかにも「を」を使うことがあります。

      (程度)ジョンさんは100Mを10秒で走れる。
      (主語を強調する場合)彼がフランス語を話せます。

      初級ではここまで説明すると学習者が混乱するため、解説していませんでした。
      教員側は理解していた方がいいと思いますので、ご参考になれば幸いです。

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