みなさんおはようございます。
この記事では日本語専任講師歴7年以上の経験から、N4文型「~にくい」の使い方、導入例文、前件後件のルール、よくある間違いなど詳しく解説していきます。日本語学習者にはわかりやすく、日本語教育者には指導の参考になる記事を提供できるよう頑張りますので、是非最後までご覧ください。
目次
今日の文型 「にくい」
導入①
導入例①【このペットボトルはふたが固くて開けにくいです。】
ふたが固くて開けにくいんです。
導入例②【ワンピースは漢字が多くて読みにくいです。】
説明
導入②
導入例①【梅雨は洗濯物が乾きにくいです。】
乾くになるのが難しい=「乾きにくい」です。
導入例②【毎日ヨーグルトを食べる人は、病気になりにくいです。】
病気になる可能性が低い=「病気になりにくい」です。
これから毎日食べます。
説明
注意
解説(日本語教師向け)
ここからは日本語教育者向けの解説をしていきます。
意味
意志動詞:~するのが難しい
無意志動詞:~状態になるのが難しい、~になる可能性が低い
接続
動詞ます形+にくい
前件/後件のルール
・ルールA 後件基本的には5パターン
「にくい」は後件に来る形がある程度決まっています。基本的には以下の5パターンです。この5パターンを覚えておけば、簡単に使うことができるので覚えておきましょう。
①「~にくいです」
このパソコンはとても使いにくいです。
②「~にくい+名詞」
これはとても使いにくいパソコンです。
③「にくい+なる」
前日に準備をしたら、忘れにくくなるよ。
④「にくい+する」
ガラスフィルムを貼って、画面が割れにくくする。
⑤「にくい+から、ので」
この靴は歩きにくいから、やめたほうがいいよ。
ポイント
①”意志動詞”と”無意志動詞”で意味が違う
「にくい」の大きなポイントは、接続する動詞の種類によって意味が変わることです。接続する動詞が”意志動詞”なのか、”無意志動詞”なのかで意味が少し変わります。微妙なニュアンスの違いがあるので、どちらの使い方も覚えておきましょう。
意志動詞:あることをするのが難しいと伝える
無意志動詞:ある状態になることが難しい、その状態になる可能性が低い
②「Vます形+やすい」はイ形容詞
「Vます形+にくい」の品詞はイ形容詞と同じ扱いになります。変化もイ形容詞と同じ変化をするので覚えておきましょう。
| 丁寧形 | 普通形 | |
| 現在肯定形 | にくいです | にくい |
| 現在否定形 | にくくないです | にくくない |
| 過去肯定形 | にくいかったです | にくかった |
| 過去否定形 | にくくなかったです | にくくなかった |
③類似文型の「づらい」(N3)と「がたい」(N2)との違い
「にくい」には「づらい」(N3文型)と「がたい」(N2文型)という類似文型があります。初級レベルの学習者には、違いの説明をすることはありませんが、中級レベル以上の学習者からはよく違いを聞かれます。もし学習者に聞かれたときに答えられるよう、ここでは簡単な違いを紹介します。
にくい:物理的なことが理由でするのが難しい。(いいことにも悪いことにも使える)
私は太りにくい体質なので、カロリーを気にしたことがない。
づらい:精神的や身体的に原因がある。原因が自分によるもの。(無意志動詞の性質には使えない)
遅刻をしたので、教室に入りづらい。
がたい:心理的な原因でできないときに使う。絶対にできないとい強い否定になる
彼はいつも嘘をつくので、今回の話も信じがたい。
④反対の意味の文型は「~やすい」
「にくい」と同じ使い方で反対の意味の”~するのが簡単だ”と伝える「~やすい」という文型があります。基本的には一緒に導入するので、覚えておきましょう。
やすい:この町はとても住みやすいです。
学習者によくある間違い
・「にくい」と「するのが難しい」の違い
「にくい」は”~するのが難しい”という意味で使われます。しかし「にくい」を使えない場面がいくつかあります。「にくい」を使えないときは、「するのが難しい」と言います。学習者には、使い分けが難しい文型なので、間違っているときに訂正できるように準備をしておきましょう。
「にくい」:そのものの特徴や形、性格などからある行為をするのが難しいとき
目が悪いので、黒板の字が見にくいです。
「するのが難しい」:
①状況や心情的にするのが難しいとき
このバンドは大人気だから、ライブのチケットを入手するのが難しい。
②自分の能力や物の技術力から考えてするのが難しいとき
日本語の勉強を始めて1年でN1に合格するのは難しい。
まとめ
・意志動詞と無意志動詞で意味が異なる
・意志動詞は「~するのが難しい」
・無意志動詞は「~になるのが難しい」
・変化はい形容詞と同じ
・「づらい」と「がたい」という類似文型がある
以上「にくい」の解説でした。ここに書いてあること以外の疑問や質問はコメントをお願いします。最後までご覧いただきありがとうございました。











