みなさんおはようございます。
この記事では日本語専任講師歴7年以上の経験から、N4文型「~のに」の使い方、導入例文、前件後件のルール、よくある間違いなど詳しく解説していきます。日本語学習者にはわかりやすく、日本語教育者には指導の参考になる記事を提供できるよう頑張りますので、是非最後までご覧ください。
目次
今日の文型 「~のに」
導入
導入例①【明後日は平日なのに、授業がありません。】
導入例②【あのお店は高いのに、おいしくありません。】
説明①
名詞の現在形:名詞+な+のに
ナ形容詞の現在形 ナ形容詞+な+のに
説明②
しかし、平日です、学校がありません。
これはいつもと違いますね。
しかし、食べました。おいしくありません。違いました。
平日≠授業がない 平日なのに、授業がありません。
高いお店=おいしい あのお店は高いので、おいしいです。
高いお店≠おいしくない あのお店は高いのに、おいしくありません。
解説(日本語教師向け)
ここからは日本語教育者向けの解説をしていきます。
意味
逆説
前件から予想できることと後件の内容が違うこと
接続
動詞普通形+のに
イ形容詞普通形+のに
ナ形容詞普通形+のに (現在形のみ:なのに)
名詞普通形+ので (現在形のみ:なのに)
前件/後件のルール
・ルールA 未定や未来のこと×(事実的逆説)
「のに」は逆説の表現に使う文法です。逆説の表現の中で、事実のことにしか使えません。そのため、未定のことや未来のことのような仮定の逆説に使うことができません。
だろうのに : 明日は雨が降るのに、ピクニックに行く予定です。
だろうけど : 明日は雨が降るだろうけど、ピクニックに行く予定です。
ても : 明日雨が降っても、ピクニックに行く予定です。
・ルールB 後件に意志×
「のに」は事実のことに使う文法だとお伝えしました。それに伴い後件には意志表現を使うことができません。他の逆説表現と違うところですので覚えておきましょう。
明日テストなのに、勉強しないつもりだ。
明日テストだけど、勉強しないつもりだ。
意志表現:命令・指示・禁止・意向・つもり・Vたい・ほうがいい…
・ルールC 後件に推量×
「のに」は事実のことに使う文法なので、個人の考えが入る推量表現を使うことができません。後件に推量表現を使わないようにしましょう。
彼は熱があるのに、学校へ来るだろう。
彼は熱があるが、学校へ来るだろう。
推量表現:だろう・はず・みたい・ようだ・そうだ・かもしれない…
・ルールD 後件に事実確認の質問の表現×
「のに」の最後のルールは後件に質問の表現にできないことがあるということです。ここまで「のに」は事実のことに使う逆説の文法だと説明してきました。しかし、事実を確認するための質問文に「のに」を使うことができません。
休日なのに、会社へ行きますか。
休日ですが、会社へ行きますか。
後件に単純な質問の表現を使うことはできませんが、「のですか」や「んですか」は使うことができます。
休日なのに、会社へ行くんですか。
休日なのに、会社へ行くのですか。
「のに」には他の逆説の表現と違って、感情が含まれています。「のですか」や「んですか」には感情が含まれるので、「のに」と同時に使うことができます。
ポイント
①逆説の表現
「のに」は逆説の表現です。逆説とは、前件の条件から想定される結果と、後件での結果が違うことを言います。逆説表現の文型は他にもたくさんあります。初級から上級まですべてのレベルで出てくる表現です。学習者の中にはこの感覚がなかなか理解できな人もいます。初級レベルでは説明が難しいこともありますが、大事な表現なのでしっかりと覚えられるようにしましょう。
②驚き、不満、残念、非難などの気持ちがある
「のに」は他の逆説表現と違い、感情を含む表現です。その多くは負の感情を含んでいます。発話者が結果に不満や残念な気持ち、非難の気持ちなどあるときに使います。そのため日本人が会話であえて「のに」を使う場面はあまり多くありません。基本的には他の逆説表現を使って会話をすることをおすすめします。特に丁寧な表現が必要な場面では、他の逆説表現を使いましょう。
③終助詞のような使い方ができる
基本的に「のに」は前件と後件を持つ文法です。前件の最後に「のに」を使うのが、基本的な使い方です。しかし会話表現では、「のに」を終助詞のように文末に使うことがあります。より感情が強く表現したいときに、文末に「のに」を使います。会話でしか使いませんが、よく耳にする使い方なので学習者にも導入しておいてもいいかもしれません。
・もっと勉強してたら、大学に合格できたのに。
学習者によくある間違い
・順接と逆説の間違い
「のに」はよく「ので」と比較されることがあります。「のに」は逆説表現、「ので」は順接表現です。試験などではよくこの2文型を選ぶ問題が出題されます。また、会話で間違って使うと、意味が全然変わってきてしまうので、使い分けができるようにしておきましょう。以下は参考の問題例です。考えてみてください。
①勉強を頑張った( )、テストで満点を取ることができた。
A.ので B.のに
②勉強を頑張った( )、N4に合格できなかった。
A.ので B.のに
③日本に来て1か月なので、__________。
A.1人で電車に乗ることができません。
B.たくさん友達ができました。
C.日本が大好きです。
④彼は会社員なのに、__________
A.いつもスーツを着ています。
B.毎日家にいます。
C.給料が高いです。
答え:①A ②B ③A ④B
まとめ
・逆説表現
・残念、不満、非難、驚きの感情を含む
・後件に意志、推量、未定のことは使えない
・質問の表現は「のです」か「んです」を使う
・会話表現では文末に使うことがある
以上「のに」の解説でした。ここに書いてあること以外の疑問や質問はコメントをお願いします。最後までご覧いただきありがとうございました。











