みなさんおはようございます。
この記事では日本語専任講師歴7年以上の経験から、N4文型「~ために(目的)」の使い方、導入例文、前件後件のルール、よくある間違いなど詳しく解説していきます。日本語学習者にはわかりやすく、日本語教育者には指導の参考になる記事を提供できるよう頑張りますので、是非最後までご覧ください。
目次
今日の文型 「~ために」
導入
使い方① 目的Aをしたいから、Bをする
・導入例①【貯金するために、アルバイトをしています。】
・導入例②【旅行のために、貯金をしています。】
・説明
使い方② Aが困るからBをする AがうれしいからBをする
・導入例①【外国人のために、英語で書いてあります。】
・導入例②【母のために、きれいな着物を買います。】
・説明
②私がBします。Aさんはうれしいです。
名詞は人の名前(〇〇さん、母、父…)やたくさんの人がいるグループ(友達、外国人、家族…)を使うことが多いです。
解説(日本語教師向け)
ここからは日本語教育者向けの解説をしていきます。
意味
①目的
②利益
接続
①目的 V辞書形+ために
①目的 N+の+ために
②利益 N+の+ために
前件/後件のルール
・ルールA 無意志動詞は使えない
「~ために」に接続する動詞は意志動詞だけです。無意志動詞には使えません。
無意志動詞:わかる、疲れる、始まる、晴れる、咲く、売れる…
・ルールB 前件と後件の主語は同じ人物
「ために(目的)」は目的を表す前件と行為を表す後件の、主語は同じ人物でなければなりません。導入の時に誰がするのかという主語の確認をしておきましょう。
ポイント
・導入
①漢字圏の学習者には「目的」という言葉を使って説明する
「ために」の導入は「目的」という言葉を知っていれば簡単です。「目的」は日本語でも中国語でも同じ意味の言葉です。そのため漢字圏の学生には、「目的」という言葉を使って導入することをおすすめします。
また英語圏の学習者にも、英語の(purpose)を使って導入してもいいと思います。
・「ために」の「に」は省略できる
「ために」は「に」を省略して「ため」だけで使うことができます。
例:業務改善のため、お電話の内容を録音しております。
「ため」にすることで、硬い文になります。書き言葉や注意事項アナウンスなどで使われます。会話では省略することはないので、学習者のレベルに合わせて説明するか判断してください。
・名詞修飾形「ための」がある
「ために」は後ろに名詞を続ける、名詞修飾の形「ための+名詞」があります。
例1:私は子供たちが英語を勉強するための本を作っています。
例2:田中さんは従業員のための食堂でご飯を食べています。
「ために」を始めて勉強する初級レベルの学習者には、説明する必要はありません。中級や上級になると出てくる使い方ですので、学習者から聞かれたら答えられるよう覚えておきましょう。
学習者によくある間違い
・類似文型「ように」と間違える
”みんなの日本語”では「ために」より先に「ように」を勉強します。そのため学習者が違いを理解できず、混同してしまうことがよくありるので、違いを丁寧に説明する必要があります。「ために」と「ように」の大きな違いは以下の3点です。
①「ために」は「意志動詞+ために」 「ように」は「無意志動詞+ように」
②「ために」は「名詞+ために」がある
③「ように」は「Vナイ形+ように」がある
④「ために」は前件後件の主語が同じ 「ように」は主語の制限なし
| ために | ように | |
| 接続する動詞 | 意志動詞 | 無意志動詞 |
| 「Vナイ形」の接続 | × | 〇 |
| 「名詞」の接続 | 〇 | × |
| 前件/後件の主語 | 同じ人物 | 制限なし |
「ために」と「ように」の違いは学習者から必ず質問されます。しっかりと違いを理解し、説明ができるよう準備をしておきましょう。
まとめ
・使い方 ①目的 ②利益
・接続は意志動詞のみ
・「ように」との違いを理解しておく
以上「ために」の解説でした。
「ために」は会話でよく使う表現です。使い方は決して難しくはありませんが、学習者んとっては類似文型の「ように」との使い分けが難しいようです。違いを丁寧に説明し、定着できるような練習を繰り返し行う必要があります。類似文型との違いの説明ができるかどうかは、学習者にとって教師を信頼できるかどうかの指標になります。必ず聞かれるという想定をして、説明できるよう準備しておきましょう。
ここに書いてあること以外の疑問や質問はコメントをお願いします。最後までご覧いただきありがとうございました。










