わかりやすい日本語教育
タッチメン

N4文型 「~ために」

みなさんおはようございます。

この記事では日本語専任講師歴7年以上の経験から、N4文型「~ために(目的)」の使い方、導入例文、前件後件のルール、よくある間違いなど詳しく解説していきます。日本語学習者にはわかりやすく、日本語教育者には指導の参考になる記事を提供できるよう頑張りますので、是非最後までご覧ください。

今日の文型 「~ために」

アリスさん
アリスさん
先生 今日は何を勉強しますか。
タッチメン
タッチメン
アリスさん 今日は「~ために」を勉強します。

導入

タッチメン
タッチメン
それでは「~ために」をしっかり勉強しましょう。

 

使い方① 目的Aをしたいから、Bをする

・導入例①【貯金するために、アルバイトをしています。】

タッチメン
タッチメン
  アリスさん、どうしてアルバイトをしていますか。
アリスさん
アリスさん
お金がありません。貯金がしたいです。
タッチメン
タッチメン
貯金がしたいです。アルバイトをしていますね。
アリスさん
アリスさん
そうです。
タッチメン
タッチメン
今の文を「ために」を使って1つの文にできます。
タッチメン
タッチメン
貯金するために、アルバイトをしています。

 

・導入例②【旅行のために、貯金をしています。】

タッチメン
タッチメン
アリスさん、どうして貯金していますか。
アリスさん
アリスさん
したいことがあります。
タッチメン
タッチメン
何ですか。
アリスさん
アリスさん
東京へ旅行したいです。
タッチメン
タッチメン
そうなんですね。
タッチメン
タッチメン
「旅行したいです。貯金します。」を「ために」を使って言いましょう。
アリスさん
アリスさん
旅行するために、貯金します。
タッチメン
タッチメン
いいですね。
タッチメン
タッチメン
「旅行する」は動詞ですね。「ために」は名詞でも言うことができます。
タッチメン
タッチメン
旅行のために、貯金します。
アリスさん
アリスさん
先生、名詞は「の」がありますね
タッチメン
タッチメン
そうです。「名詞+の」なので、気を付けてください。

 

・説明

タッチメン
タッチメン
「ために」の前は「V辞書形+ために」か「N+の+ために」です。
タッチメン
タッチメン
「Aしたいです。Bします」と言いたいときに ⇒「AためにBします」と言います。
アリスさん
アリスさん
はい。わかりました。
タッチメン
タッチメン
Aしたい」や「Aために」のAのことを目的(purpose)と言います。
タッチメン
タッチメン
文法の使い方を勉強するときに便利ですので覚えてください。

 

使い方② Aが困るからBをする AがうれしいからBをする

・導入例①【外国人のために、英語で書いてあります。】

タッチメン
タッチメン
アリスさん、駅の看板は英語で書いてありますね。どうしてかわかりますか。
アリスさん
アリスさん
外国人は日本語がわからないからです。
タッチメン
タッチメン
そうですね。外国人は日本語を読むことができません。とても困ります。ですから英語で書いています。
タッチメン
タッチメン
これを「ために」を使って言うことができます。 
タッチメン
タッチメン
外国人のために、英語で書いてあります
アリスさん
アリスさん
日本は優しい国ですね。

 

・導入例②【母のために、きれいな着物を買います。】

タッチメン
タッチメン
アリスさん、夏休みは国に帰りますか。
アリスさん
アリスさん
はい。帰るつもりです。
タッチメン
タッチメン
  お土産は何を買う予定ですか。
アリスさん
アリスさん
母は着物が欲しいと言っていたので、きれいな着物を買うつもりです。
タッチメン
タッチメン
それはお母さんうれしいですね。
タッチメン
タッチメン
他の人がうれしいと思うことをするとき、「ために」を使って言うことができます。
タッチメン
タッチメン
母のために、きれいな着物を買います。

 

・説明

アリスさん
アリスさん
先生、「困ること」と「うれしいこと」どちらに使いますか。
タッチメン
タッチメン
「A(名詞+の)ためにBする」はどちらも使うことができます。
タッチメン
タッチメン
①私がBしません。Aさんが困ります。ですから私はBします。Aさんはうれしいです。

②私がBします。Aさんはうれしいです。

タッチメン
タッチメン
①②どちらも「BはAさんにいいことです」
アリスさん
アリスさん
どちらもいいことですね。「ために」の前は全部「人」ですか。
タッチメン
タッチメン
そうですね。「ために」の前は「名詞(人)+の」です。

名詞は人の名前(〇〇さん、母、父…)やたくさんの人がいるグループ(友達、外国人、家族…)を使うことが多いです。

 

解説(日本語教師向け)

ここからは日本語教育者向けの解説をしていきます。

 

意味

①目的

②利益

接続

①目的 V辞書形+ために

①目的 N+の+ために

②利益 N+の+ために

前件/後件のルール

・ルールA 無意志動詞は使えない

「~ために」に接続する動詞は意志動詞だけです。無意志動詞には使えません。

無意志動詞:わかる、疲れる、始まる、晴れる、咲く、売れる…

 

・ルールB 前件と後件の主語は同じ人物

「ために(目的)」は目的を表す前件と行為を表す後件の、主語は同じ人物でなければなりません。導入の時に誰がするのかという主語の確認をしておきましょう。

 

ポイント

・導入

①漢字圏の学習者には「目的」という言葉を使って説明する

「ために」の導入は「目的」という言葉を知っていれば簡単です。「目的」は日本語でも中国語でも同じ意味の言葉です。そのため漢字圏の学生には、「目的」という言葉を使って導入することをおすすめします。

また英語圏の学習者にも、英語の(purpose)を使って導入してもいいと思います。

・「ために」の「に」は省略できる

「ために」は「に」を省略して「ため」だけで使うことができます。

例:業務改善のため、お電話の内容を録音しております。

「ため」にすることで、硬い文になります。書き言葉や注意事項アナウンスなどで使われます。会話では省略することはないので、学習者のレベルに合わせて説明するか判断してください。

・名詞修飾形「ための」がある

「ために」は後ろに名詞を続ける、名詞修飾の形「ための+名詞」があります

例1:私は子供たちが英語を勉強するための本を作っています。

例2:田中さんは従業員のための食堂でご飯を食べています。

「ために」を始めて勉強する初級レベルの学習者には、説明する必要はありません。中級や上級になると出てくる使い方ですので、学習者から聞かれたら答えられるよう覚えておきましょう。

 

学習者によくある間違い

・類似文型「ように」と間違える

”みんなの日本語”では「ために」より先に「ように」を勉強します。そのため学習者が違いを理解できず、混同してしまうことがよくありるので、違いを丁寧に説明する必要があります。「ために」と「ように」の大きな違いは以下の3点です。

①「ために」は「意志動詞+ために」 「ように」は「無意志動詞+ように」

②「ために」は「名詞+ために」がある

③「ように」は「Vナイ形+ように」がある

④「ために」は前件後件の主語が同じ 「ように」は主語の制限なし

ためにように
接続する動詞意志動詞無意志動詞
「Vナイ形」の接続×
「名詞」の接続×
前件/後件の主語同じ人物制限なし

 

「ために」と「ように」の違いは学習者から必ず質問されます。しっかりと違いを理解し、説明ができるよう準備をしておきましょう。

 

まとめ

ために まとめ

・使い方 ①目的 ②利益

・接続は意志動詞のみ

・「ように」との違いを理解しておく

 

以上「ために」の解説でした。

「ために」は会話でよく使う表現です。使い方は決して難しくはありませんが、学習者んとっては類似文型の「ように」との使い分けが難しいようです。違いを丁寧に説明し、定着できるような練習を繰り返し行う必要があります。類似文型との違いの説明ができるかどうかは、学習者にとって教師を信頼できるかどうかの指標になります。必ず聞かれるという想定をして、説明できるよう準備しておきましょう。

 

ここに書いてあること以外の疑問や質問はコメントをお願いします。最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

 

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ABOUT ME
タッチメン
日本語学校の専任講師として7年以上勤務をしていて、経験した留学生の疑問や先生の悩みを解決していきます。

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