みなさんおはようございます。
この記事では日本語専任講師歴7年以上の経験から、N4文型「~てみる」の使い方、導入例文、前件後件のルール、よくある間違いなど詳しく解説していきます。日本語学習者にはわかりやすく、日本語教育者には指導の参考になる記事を提供できるよう頑張りますので、是非最後までご覧ください。
目次
今日の文型 「てみる」
導入
導入例①【ケーキを一口食べてみてください。】
導入例②【店長に休んでもいいか聞いてみます。】
説明
”いいか悪いかわかりません。だから少しして、いいか悪いかを確認します”ときに使います。
⇒一口食べてみます。
⇒店長に休んでいいか聞いてみます。
解説(日本語教師向け)
ここからは日本語教育者向けの解説をしていきます。
意味
いいかどうかわからないので、試しにする
接続
動詞テ形+みる
前件/後件のルール
・ルールA 無意志動詞は使えない
「~ために」に接続する動詞は意志動詞だけです。無意志動詞には使えません。
無意志動詞:わかる、疲れる、始まる、晴れる、咲く、売れる…
・ルールB 否定の形にならない (てみない×)
「てみる」は否定の形で使うことができません。質問をされたときは、否定の形にできないので注意が必要です。
A:納豆買ってきたけど、食べてみる。
B:うん。食べてみる。
:ううん。食べてみない。
:ううん。食べない。
・ルールC 試すの範囲を超えるときは使えない
「てみる」は試しに何かをするときに使う文型です。そのため明らかに試すの範囲を超えているときには使うことができません。試すの範囲を超えているの以下のような文です。
このマンガおもしろいから、全巻読んでみて。
このマンガおもしろいから、ちょっと読んでみて。
ほとんど同じ内容の文ですが、”全巻”と”ちょっと”という違いがあります。”全巻”はおもしろいかどうかを試す量を超えています。試すだけなら”ちょっと”で十分です。そのため”全巻”の文に「てみる」を使うことができません。
一緒に使えない言葉:たくさん、すべて、ずっと…
ポイント
①控えめな気持ちがある丁寧な表現
「てみる」は聞き手に控えめで丁寧な印象を与えることができます。そのため、目上の人や初対面の人などとの会話によく使われます。学習者の中で仕事やアルバイトをしている人は知っておいた方がいい文法です。
一度社長の家に行きたいです。=気持ちが強い。普通の会話では少し失礼な感じ。
一度社長の家に行ってみたいです。=控えめに希望を伝えている。日本人はこちらを使う。
②依頼や提案によく使う
「てみる」は控えめな印象を与える丁寧な表現なので、他人へ依頼や提案するときによく使われます。先生が学習者に対してもよく使っている表現なので、一緒に使う形を覚えておくと便利です。
~てみてください。(~てみて)
この小説おもしろいから、読んでみてください。
~してみましょう(~てみよう)
1か月にどれだけお金を使ってるか計算してみましょう。
③「と・ば・たら」と一緒に使うことがある(N3文型)
「てみる」は仮定条件の「と・ば・たら」と一緒に使うことがあります。”前件をした結果、後件のことがわかった”という場合に使う文型です。こちらはN3レベルの文型ですが、余裕がある人は覚えておくといいでしょう。
休日に会社へ行ってみると、社長が仕事をしていた。
店員さんに聞いてみたら、若い子に人気の商品を教えてくれた。
④実際に行動する意志が強い
「てみる」は前述のとおり、意志動詞しか使えない文型です。意志動詞を使うことで、実際に行動する意志が強く感じられます。会話で「てみる」を使うときは、聞き手に本当にこのあと試しにやりたいと思っているという印象を与えることができます。少しの違いですが、聞き手の印象が変わるので使い分けができるとコミュニケーションのレベルが上がります。頑張って使ってみましょう。
日本酒を飲んでみます。⇒実際に行動するときにしか使わない
日本酒を飲みます。⇒事実や習慣を言うときにも使う
学習者によくある間違い
・「て見る」と表記する
学習者によくある間違いは表記ミスです。「てみる」はひらがなで書きます。間違って「て見る」と漢字にしてしまう学習者がいます。文の内容が変わってしまうので、間違いを見つけたら教えてあげましょう。
暇なので、カレーを作ってみます。⇒試しに作る
暇なので、カレーを作って見ます。⇒作ってから、作ったカレーを見る(ありえない状況)
まとめ
・物事を試すときに使う文型
・接続は意志動詞だけ
・依頼や勧誘によく使う
・否定の形にできない
・控えめで丁寧な印象を与える
以上「てみる」の解説でした。ここに書いてあること以外の疑問や質問はコメントをお願いします。最後までご覧いただきありがとうございました。











