わかりやすい日本語教育
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自作漂流論 「塵は誇りであるという持論」 charls

みなさんこんにちは。日本語教師のcharlsです。

昨年からのコロナ禍によって、ずっと対面形式の授業をしていた日本語教師が、オンライン形式の授業に興味を持ったきっかけや、実際にやってみて感じたことを話して行こうと思います。また、自身の経験から日本語教師の働き方や教育方法、心構えなど日本語教育に関する自身の気づきを伝えていこうと思います。日本語教師として働いている人や、ボランティアで日本語を教えている人。そしてこれから日本語教師を目指そうと思っている人にとって、日本語教育を考えるきっかけになればと思います。

今日は「自作漂流論 塵は誇りであるという持論」というテーマで、日本語教育から離れた視点で、自分というものを見つめ直した先にあるものについて話していきます。

是非最後までご覧ください。

勉強から逃げたいという口実

表向きは、幼い頃から芸術が大好きな子でした。
それはただ単に、勉強から逃げたい一心で芸術方面に移ったような節もありましたが、その時はきっと純粋だったように思います。
小学生の時には市の美術コンクールで薔薇の絵が受賞されたり、高校の時には美大の教授に誘われて油絵やデッサン指導を受けるためにアトリエに通ったり、音楽方面はというと、アトリエに通っていた頃にYMOが好きになりDTMに興味を持ち、東京進学を志すようになりました。
小学生の頃から大好きだった久石譲さんの影響で、現代音楽やミニマル・ミュージックの影響を受けていたことも東京進学したいきっかけの一つでした。

 

逃げた先に救われた実際

学生時分は正に楽観的な生き方で、音楽にのめり込んでいたわけですが、社会に出た後のことは大して考えておらず、社会に出た後で気付いたのは、常識や一般知識が十分でなかったことから社内でのルールやモラル、そして人間関係にも躓く毎日でした。
高校時代を振り返ってみても大学受験のことは脳裏になく、芸術分野だけで何とか進学できると高を括っていたのです。
そういった甘い考え方が続き、社会人として歩んでいくにつれ、いくつもの挫折を味わいました。美術や音楽に夢を追うことは早々に諦め、趣味に留めながらサービス業を続けていた時には、真髄を極めることをしない自分勝手でわがままな自分に追い討ちをかけるように、毎日生きていても虚無感しか感じないやるせない葛藤や中途半端な気持ちまでのしかかってきました。
ただ、生きることに対して絶望しなかったのは、趣味としてでも何処かで自分を支えていた美術や音楽といったものが、結果的に無力な自分を救ってくれていたのです。

 

言の葉という特有の表現

サービス業を経て教育業界の門を叩いた最近でも、趣味として音楽制作を続けています。
昔から芸術志向だった自分を振り返ってみて思うのは、自己満足にでも作品を作りあげたかった当時の自分は、単に自己満足ではなく誰かに何かしらを表現したかったのではないかと思ったのです。
自分の作品を見て、誰かに何かを感じてほしい。その想いは、趣味として続けている今でも強く心に残っています。美術から始まり音楽に形を変え、最近では大学に通ってまで文章表現にこだわっている自分がいます。
日本語教師になってみて日本語の魅力を知り、言葉が持つ「特有の表現」という魔法にかかった挙句「教育だけが世界を変えられる」のでは、という自負を持つようにまでなりました。
人は死んでしまったら全てが終わる。それは誰しもが感じる恐怖であり、万物たるゆえに避けられない仕方のないものですが、私は肉体が滅んでも生き続けてくれる作品に目を向けることにしたのです。

 

散りばめられた塵への想い

自分が表現したものが誰かに何かを与えられるのなら、どんな形でも遺していきたいと願うようになりました。
約70億人が住むこの星の中で、SNSといった無数の発信物が取り巻く中、私というちっぽけな作品なんて塵も同然です。しかし、それが例え塵だとしても塵を産まなければ塵としても存在しないからこそ、塵を産み続けていきたいのです。
宇宙の中に無限に存在する塵だとしても、その塵はやがて宇宙のゴミとして、ロケットを形成する金属板を撃ち破るほどの威力があるかもしれない。しかし、それは私にとって誰かの心を射止めるくらいの威力と同じなのです。所詮は塵と思うかもしれないですが、されど塵であり誇りなのです。
私は昔と同じ思想で今まで通り、死ぬまでの間、塵のような作品をSNSなどに漂流させていきます。細切れのメモが入ったペットボトルを海に流して、どこかの対岸で拾われるくらいのちっぽけな希望を託して、自作という塵を少しずつ生産していきます。
私がこれから生み出す音楽や文章たちが、どこかの宇宙に散りばめられた塵の集まりとして。そして、それが流れゆく川となる日を夢見て。
果てのない気持ちを、しっかり持って活きていきたいと思います。

 

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