みなさんおはようございます。
この記事では日本語専任講師歴7年以上の経験から、N4文型「てもいい」の使い方、導入例文、前件後件のルール、よくある間違いなど詳しく解説していきます。日本語学習者にはわかりやすく、日本語教育者には指導の参考になる記事を提供できるよう頑張りますので、是非最後までご覧ください。
今日の文型 「てもいい」
解説(日本語教師向け)
ここからは日本語教育者向けの解説をしていきます。
意味
~を許可する、~の許可をもらう
接続
動詞テ形+もいい
ポイント
①自分がしたいことの許可をもらうときに使う
「てもいい」は主に自分が何かをしたいときに他の人に確認をして許可をもらうときに使います。許可をもらうときには疑問形の形「~てもいいですか」でよく使われます。
・お腹が痛いので、トイレに行ってもいいですか。
・日本語が上手じゃないので、英語で話してもいいですか。
②ルールの確認をするときにも使う
ルール①で自分がしたいことの許可をもらうときに使うと説明しました。ほかにもルールがわからないときに、ほかの人に自分の知っているルールが合っているか質問するときに使います。
・月曜日にペットボトルのゴミを捨ててもいいですか。
③返事の仕方に注意
「てもいい」は許可をもらうときやルールの確認をするときに使うと説明してきました。基本的には質問の形で使われるので、合わせて答え方も覚えておきましょう。答え方にもいくつかポイントがあります。違いを理解して使えるようにしましょう。
①「ええ、どうぞ」
ポイント:基本的にいつでも使えます
A:すいません、このプリントコピーしてもいですか。
B:ええ、どうぞ。
②「はい、いいですよ」
ポイント:目上の人には使いません
上司:ちょっとここに座ってもいいか。
私:ええ、どうぞ。
はい、いいですよ。
※上から許可をしているように見える
③「いいよ」
ポイント:親しい人に使う
子ども:冷蔵庫の卵使ってもいい?
お母さん:いいよ
①「ちょっと」
ポイント:基本的に使う表現
A:ここに荷物を置いてもいいですか。
B:すみません、ちょっと…
②「ないでください」
ポイント:強い否定をするとき
A:ここに車を停めてもいいですか。
B:他の車が通れないので停めないでください。
③「てはいけません」
ポイント:ルールで禁止を伝えるとき
A:ここはタバコを吸ってもいいんですか。
B:ここは禁煙なので吸ってはいけません。
④誰がその行為をするかに注意
「てもいい」は行為者がわからなくなることがあります。特に貸す借りるや見る見せるなどと一緒に使うと行為者が誰かわからなくなるので注意が必要です。
この本借りてもいいですか。
→Bさんの本を私が借りる
この本貸してもいいですか。
→Bさんの本を私がCさんに貸す(Cさんが借りる)
この書類見てもいいですか。
→私が書類を見る
この書類見せてもいいですか。
→私が第3者に書類を見せる(第三者が見る)
⑤譲歩・妥協の気持ちを入れることができる
「てもいい」は許可をするときに使いますが、その許可の表現に譲歩や妥協の気持ちを入れることができます。
例えば
A:この後どうする?
B:まだ時間あるし、2件目行ってもいいよ。
A:じゃもう1軒行こう!
このように友達と飲みに行った時の会話で「てもいい」を使うことがあります。この会話でBさんは『行ってもいいし、行かなくてもいい、どちらでもいい』と思っているので、Aさんに判断を任せています。これが譲歩の気持ちを入れた使い方です。
続いて
A:19時は予約でいっぱいだって。21時なら空いてるらしいよ。
B:21時でもいいか。
A:仕方ないね。
これは夜ご飯の予約をしようとしているときの会話です。Aさんが電話で予約しようとしていますが、その時間は満席で予約ができないので、仕方なく違う時間で予約しています。Bさんは『21時で予約したけれど、本当は19時がよかった』と思っています。これは妥協の気持ちを入れた使い方です。
譲歩や妥協を入れた使い方は接続に形容詞と名詞を使うことができます。
イ形容詞:駅から近いなら、少し高くてもいいよ。
ナ形容詞:家賃が安いなら、少々不便でもいいよ。
名詞:今日の晩御飯カレーでもいい?
この譲歩や妥協の気持ちを入れた使い方は日常生活でよく使いますが、初級のテキストでは記載されていません。そのため初級では触れなくてもいい内容です。中級以降に会話表現で導入するのがいいでしょう。
学習者によくある間違い
「見てもいいですか。」の使い方
学習者のよくある間違いは、「なければなりませんか。」の使い方です。学生はよく自分の進学書類や宿題の解答を先生に見てほしいときに、「てもいい」を間違って使います。
学生:先生、出願書類を見てもいいですか。
学生:先生、出願書類を見てもらってもいいですか。
※他の人にある行為をお願いするときには、「てもらってもいいですか」を使います。
まとめ
・”許可をもらう”ときに使う
・”ルールを確認する”ときにも使う
・返事の仕方で少し意味が変わる
・行為者が誰になるか注意する
・人にお願いするときは「てもらってもいいですか」
以上「てもいい」の解説でした。ここに書いてあること以外の疑問や質問はコメントをお願いします。最後までご覧いただきありがとうございました。







